テレビ映像部会 第54回特別部会の報告

日時:2013年2月21日(木)

会場:東海テレビ放送 

会議室 参加者:67名 

 
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挨拶:佐藤部会長(NHK)

今年度のテレビ映像特別部会は中部支部開催となり、野々部支部長を中心に準備が進められた。会場を東海テレビ放送様に無償でご提供いただいたことや各種経費の再検討などにより、昨年に引き続き資料費1,000円での参加を実現できた。関係各位には深く御礼申し上げたい。

さて、陣内副部会長の司会のもと、佐藤一裕部会長の挨拶、野々部支部長の開会挨拶で幕を開けた特別部会だが、今回は3部構成となり、バラエティ豊かな内容となった。

 
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開会挨拶:野々部中部支部支部長(テレビ愛知)
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司会:陣内副部会長(テレビ朝日)
 

【講演1】
「テレビ放送におけるラウドネス運用の開始と今後について」
講師:岡本幹彦氏(NHK放送技術局制作技術センター制作技術部 専任部長)
   松永英一氏(フジテレビジョン 技術局制作技術センター制作技術部 エグゼクティブエンジニア)
 

左から岡本氏(NHK)、松永氏(フジテレビ)

昨年10月から民放連加盟テレビ社で導入された新音声基準ラウドネスについて、まず導入の経緯、ARIB規格の概要の解説が行われた。その後、民放連基準の概要、NHK基準の概要の解説が行われた。本年4月から正式運用されるNHK基準においては、番組トータルでのラウドネス値に加えて、トークレベルをショートタームメーターによる目安として規定している点に注目したい。  これらの解説の後、実際に音声を再生してのデモが行われた。ラウドネスメーターは音量感の統一にとどまらず、ハイ上がりの刺激的な音質から低音を生かしたナチュラルな音質への転換に役立つことが実感できた。ラウドネスメーターの導入により、テレビ音声は新たな時代に入ったということを印象付ける講演だった。

 

【講演2】
映像技術賞(ドキュメンタリー部門)受賞作品「NHKスペシャル 仁淀川 青の神秘」撮影報告
講師:世宮大輔氏(NHK高知放送局カメラマン)
 
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世宮氏(NHK)

続いては、高知の清流『仁淀川』の四季を記録したドキュメンタリー作品の撮影についての講演が行われた。  まず、作品のダイジェストが再生され、青く透明な「仁淀ブルー」の世界に引き込まれるとともに、このままずっと見ていたい衝動に駆られた。その後、撮影機材、ポスプロ作業についての解説が行われた。動画撮影ツールとしてのデジタル1眼レフの能力をフルに活用し、創意工夫と努力ですばらしい作品に纏め上げた世宮氏の手腕に感銘を受けた。  また、氏がこの作品の次に手がけられた「光る森」のダイジェストも再生されたが、これも神秘的な美しい映像で会場を魅了した。

 

【パネルディスカッション】
「テレビドキュメンタリーの映画館上映への取り組み」
司会進行:阿武野勝彦氏(東海テレビ放送
報道スポーツ局専門局長)
パネラー:伊東英朗氏(南海放送 テレビ局制作部 ディレクター)
     渡辺勝之氏(岩波書店 編集局)
     平野勇治氏(名古屋シネマテーク 支配人)
 
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阿武野氏(東海テレビ)
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伊東氏(南海放送)
 
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渡辺氏(岩波書店)
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平野氏(名古屋シネマテーク)
 
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左から阿武野氏、伊東氏、渡辺氏、平野氏
 

まず初めにテレビドキュメンタリーの映画館上映について、これまでの流れを阿武野氏が解説し、続いて伊東氏が「放射能を浴びたX年後」について、制作のきっかけや目的について語った。渡辺氏は編集者目線でドキュメンタリーについて語り、平野氏からは実際にテレビドキュメンタリーを上映する映画館側の立場としての意見を聞くことができた。議論はテレビドキュメンタリーと映画との違いや、実際の上映時のリクープライン、ディレクターとカメラマンの役割についてなど多岐に渡り、どれもが興味深いものであった。  映画とテレビの音の違いについての話において、ラウドネスの講義とオーバーラップする部分があったことは主催者側として感慨深いものであった。

ディスカッション後、協会、各支部からの報告があり、来年度は中国支部での開催が宣言されて閉会となった。

 
副部会長:古川誠一(日本テレビ)