アニメーション部会第15回特別研究会 開催報告

「日本の特撮の礎

    ~ゴジラからウルトラマンへ」

開催日時:11月28日(金)~29日(土)
会  場:報道基金ごうら山荘
参 加 者:30名
講  師:
 飯塚定雄氏(ビジュアルアートクリエイター)
 小野寺浩氏 (VFXプロデューサー、
        日本エフェクトセンター(株)会長)

 


会場の様子

毎年恒例「アニメーション部会 特別研究会&交流会」も開催第15回となり、本年も多くの皆様のご参加を頂き、11月28日~29日の両日、紅葉も爛熟した箱根強羅の報道基金ごうら山荘を会場として開催されました。

本年の研究会は、デジタル映像技術によるVFX制作全盛の現在、その礎となり今日まで受け継がれている日本の特撮技術を改めて見直そうとの趣旨の元、特撮映画全盛時代から活躍されている飯塚定雄氏、小野寺浩氏のお二人を講師にお迎えし、我が国におけるVFX技術の源流となった特撮技術について、当時の様々な作品を元に貴重なご講演を頂きました。

研究会の講演では、特撮映画全盛時代の作品「地球防衛軍」「モスラ対ゴジラ」「三大怪獣 地球最大の決戦」「怪獣大戦争」「怪獣島の決闘 ゴジラの息子」等の作品群を例に取り、その特撮技法、エフェクトの作成や撮影現場での取り組み、また怪獣達の着ぐるみ制作技法やその操演等、現在ではなかなか知る事の出来ない当時の制作現場の様子について飯塚定雄氏より非常に丁寧に解説して頂きました。

小野寺浩氏からは、オプチカルプリンターや線画台の実機の記録写真やオプチカル合成で使用したコダックラッテンフィルターの実物を示しながら、実写撮影フィルムやエフェクト撮影フィルムを使用した合成への取り組み、合成時に工夫した点やフィルムの取り扱い、オプチカル合成やエリアル合成、線画台撮影の技術的解説等、現在では失われつつある映像技術について大変貴重なご講演を頂きました。

また研究会最後の質疑応答では、参加者からの質問に対して飯塚氏から「特撮の成否は、実写の撮影現場での取り組みや工夫が90%を占める。エフェクトや合成は残り10%。その10%のエフェクトと90%の実写撮影現場の取り組みによって、観客の誰も見た事が無いような素晴らしい映像になる」との回答を頂き、それを受けて参加者からは「これは現在のVFX映像制作においても十分通用する真理であり、非常に重要な事だと思う」等の発言も上がり、熱気にあふれた研究会となりました。

研究会後の交流会でも、当時の特撮映画の特撮技術や特撮作品、今日のVFX技術、デジタル映像技術等を話題に様々な討論が深夜まで熱心に交わされ、参加者の皆様には親睦を一層深めて頂く事が出来た事と思います。

講師の飯塚様、小野寺様を始め、ご参加頂いた皆様、また開催にご協力頂いた皆様には、この場をお借りして篤く御礼申し上げます。
皆様方にはご多忙中にも関わらずご参加ご協力を頂き、誠に有難うございました。

尚、アニメーション部会では引き続き、様々な研究会の企画が検討されています。
これらの研究会企画は、開催委細が決定し次第、機関誌や協会ホームページ等でご案内申し上げますので、協会会員の皆様を始めとした業界関係者や学生の皆様には、今後とも是非積極的にご参加頂ければと思います。

(部会長:馬渡貴志)

 


飯塚定雄氏

小野寺浩氏