MPTE/VIPO共催 第4回基礎技術セミナー 今さら聞けないシリーズ "もう一度基本から"報告

日 時:2019年3月7日(木)

会 場:VIPO(映像産業振興機構)会議室

参加者:74名

共 催:MPTE(日本映画テレビ技術協会)、VIPO(映像産業振興機構)

大阪支部で何回か開催されていた基礎技術セミナーを東京で初めて開催した。在京民放各社の理事の方々に講師を選出していただき、いわば民放キー局オールスターの講師陣での基礎技術セミナーとなった。カメラ、VE、音声、照明の各部門に加えて近年増加しているネット配信技術を加えた5つの部門で、広く基礎的な技術知識を学んでいただける機会を提供できたと感じている。

 
石渡 裕二氏

■ENG撮影の基礎
講師:石渡裕二氏
(株)日テレ・テクニカル・リソーシズ 制作技術センター制作技術部

カメラの担ぎ方・歩き方などの基本中の基本から番組ごとのカメラマンとしての対応や考え方などを解説。カメラと被写体の距離感、現場の空気の読み方などベテランカメラマンならではの体験談を含めて楽しい講義内容だった。

 
安藤 悠人氏

■VEの役割と仕事について
講師:安藤 悠人氏
(株)フジテレビジョン 技術局 制作技術センター主任

一般人や技術部門以外の人には分かりにくい「VE」の役割から仕事の内容を詳しく講義。カメラマンとの特性の違いや照明との関係、インカム構築の苦労など、知られざるVEの仕事について幅広い話が展開された。さらに大規模イベントの図面や実際に放送された映像を交えて具体的に解説いただいた。

 
寿田 道陽氏

■テレビ音声の仕事について
講師:寿田道陽氏
(株)TBSテレビ 技術局技術推進部担当局次長 兼
㈱東通 第2テクニカルセンター音声技術部長>

映画とテレビの視聴環境や音作りの違いにより、テレビ音声マンが苦労している話から入り、収録時のマイクの使い方による音の違いをロケ映像で分かりやすく解説し、ラウドネス規定により視聴者にいかに聞きやすい音を届けるかなど、ベテランならではの優しい語り口での講演だった。

 
水野 暁夫氏

■照明技術の基礎について
講師:水野暁夫氏
(株)テレビ東京 技術局制作技術部 副参事

照明技術の基本的な考え方から、最近のLED照明器具まで幅広く解説。LEDについては、クイズ形式で会場との双方向で講義を進めた。実際の機材を使ってタングステン電球との色温度や演色性の違いなど解りやすく解説いただき、専門用語の説明や東日本・西日本の電源周波数の違いなど受講生を飽きさせない工夫をしながらの講義だった。

 
田添 優氏

■インターネット配信の基礎
講師:田添 優氏
(株)テレビ朝日 技術局運用統括センター

近年増加している映像のインターネット配信について、作業の流れやユーザーまで、映像が配信される仕組みなどを解説。PCから講師の映像を実際にネット配信するデモを交えて、インターネット配信の理論から実地まで解りやすい講義内容だった。

 

会場となったVIPO様の会議室は満員となり、幅広い層の受講者が熱心に講義に聞き入っていた。講師の方々も最初は緊張の色があったものの、次第にリラックスした雰囲気で和やかなセミナーとなった。講師陣は、各キー局から選出された方々で、特に講義内容などのすり合わせをしなかったが、制作技術の基礎についてあまり理論的な内容にならず、技術部門以外の方にも解りやすい内容となった。講義中には受講者からリアクションの声などが頻繁に聞かれ、講義内容がしっかり受け止められているのが解った。
また、各講師の方にとっても、自身の業務の総括となり、今後の現場での仕事や後輩の指導にも生かせる経験となったのではないかと感じている。

熱心に聞いている会場の様子

今回、東京地区で初めて「制作技術の基礎」をテーマとした基礎技術セミナーが開催できた。受講者の反応やアンケート結果は、概ね好評であり、かなり早い時期に定員締め切りになったことなど需要が多いことがわかった。今後も年に一回の定期的な開催を目指し、会員・非会員を問わず東京地区の関係者に周知していきたいと感じている。 

■終了後の懇親会
セミナー終了後、東劇ビル地下の「ツキジキッチン」にて、講師・受講者による懇親会を開催した。受講者13名と 講師5名、理事や事務局など関係者を含めてお酒の入ったリラックスした雰囲気の中でさまざまな会話が交わされた。

懇親会の様子

最後に、今回のセミナー開催にあたり、共催および会場をご提供いただいたVIPO(映像産業振興機構)様、講師の選出にご協力をいただいた在京民放局の理事各位、そして各講師の方々にこの場を借りて感謝申し上げます。そして来年さらにグレードアップした形での開催を目指したいと思います。

[ 戸塚 信也 : 常任理事(テレビ朝日) ]

※講演内容の詳細は、機関誌6月号に掲載。