テレビ映像部会 第55回特別部会の報告
日時:2014年2月21日(金)
会場:広島市まちづくり市民交流プラザ
参加者:62名
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開会の挨拶をする松野 中国支部理事
迎えて55回目となる特別部会は今回中国支部開催となり、岡田支部長を中心に準備が進められた。内容の検討の中で4Kについての講演が決まり、それなら4Kでの上映を行うべきということで、それを実現するための準備作業も加わることとなった。
さて、陣内副部会長の司会のもと、佐藤部会長の挨拶、松野中国支部理事の開会挨拶で幕を開けた本部会だが、3部構成の充実した内容となった。
挨拶する佐藤部会長司会進行の陣内副部会長
【講演1】
映像技術賞 受賞作品(ドキュメンタリー) 『最期の笑顔 ~納棺師が描いた東日本大震災~』撮影報告講師:大淵光彦氏(日本放送協会 報道局映像取材部)【講演1】大淵光彦講師「最期の笑顔」は東日本大震災の津波で亡くなった方の最後のお別れのために、遺体の復元をボランティアで行う納棺師 笹原留似子さんと遺族を追ったドキュメンタリー。講演に先立ち20分ほどの番組ダイジェストが上映された。スケッチブックに笹原さんが描いた復元された穏やかなお顔の水彩画。そして手書きのあたたかいコメント。原田美枝子さんのナレーションが心をゆさぶる。会場全体が内容に引き込まれている中、大渕氏の講演が始まった。テレビが入ってはいけない現場に立っている自分が、これをどう伝えるべきか悩んだこと。復元が終わって対面の瞬間に、家族のあふれ出る感情を目の当たりにして、これを伝えなければと思ったことなど撮影技術の枠をこえた印象的なエピソードが語られた。
講演最後に語られた「ドキュメンタリーの力を信じて、これからも作品を作っていきたい」との大淵氏の言葉に深い感銘を受けた。
【講演2】
国宝・出雲大社の特殊撮影/ご本殿内部の4K撮影 『古代ロマン 歴史の源流・出雲 ~目には見えない宝物~』報告講師:北井勇作氏(㈱山陰放送 テレビ総局テレビ制作部プロデューサー)【講演2】北井勇作講師昨年は60年ぶりの出雲大社の遷宮と20年に一度の伊勢神宮の式年遷宮が重なるという特別な年で多くの番組が制作されることとなった。そんな状況の中で北井氏は「これまで映像化できなかった被写体の撮影」「かつて見たことのないアングルでの撮影」の2点を念頭に置いて企画を進めたとのこと。当初、ご本殿内部の撮影について許可が頂けなかった際に4Kというハイレゾリューションフォーマットでの撮影の提案を行うことで許可を頂いたというエピソードは興味深い。4Kでの素材収録においては、機材調達をはじめ、クリティカルなフォーカス、データ記録やコピー、カラーグレーディングなど今までにない多くの事項をクリアしなければならない。それを乗り越えて作品を作り上げることができたのは、現職はプロデューサーながら、技術職からこの道に入ったという氏の経歴がなせる業と言えるかもしれない。
また、「かつて見たことのないアングル」を実現するために使用したマルチコプターは、門をくぐってから高高度まで上昇する俯瞰カットなどに効果的に使用されており、今後の番組制作への浸透が予見されるものであった。【講演3】
出雲大社4K撮影協力とアストロデザインが提案する4K・8Kソリューション講師:佐野道則氏(アストロデザイン(株) 第一営業部マネージャー)【講演3】佐野道則氏出雲大社での4K撮影で機材面から番組をサポートしたアストロデザイン㈱の4K・8Kに対する取り組みおよび展望を聞くことができた。スカパーJSATの4K Jリーグ中継を半年のスパンで2回行った際に、2回目では1回目に比べ機材がかなり進化していたとのエピソードから、この分野の機材の進歩の速さが印象づけられた。
講演終了後、協会、各支部からの報告があり、来年度は北海道支部での開催(11月予定)と宣言されて閉会となった。今回の講演を行うにあたり、アストロデザイン(株)、報映産業(株)のご好意による機材提供で4K作品の上映が実現できたことを喜びたい。さらに関係各位には深く御礼申し上げる。
副部会長:古川誠一(日本テレビ)