大阪支部「受賞作品を見る会~作り手と語る~」報告

日 時:2020年 2月19日(水) 13:00~18:10 (12:30 受付開始)
場 所:学校法人 ビジュアルーツ専門学校・大阪 アーツホール
    大阪市北区曽根崎新地2丁目5番23号

大阪支部では、MPTE AWARDS 2019 の映像技術賞(放送作品)を受賞した3つの作品を上映する会を開催しました。会場には55名以上が集まり、お招きした受賞者から、作品へのこだわりを伺いました。

会場の様子
 

上映作品と講演者

➀『なめとんか やしきたかじん誕生物語』(音声)

講演:宮島雅俊 様 / 関西テレビ放送(株)

宮島雅俊 様

2014年1月にこの世を去った、やしきたかじん氏の人生の歩みをドラマ化した作品。ギターの弾き語りやライブ演奏など、音楽や音で物語が進行する場面が多く、音声を担当した宮島様は「遠くの音は遠く、近くの音は近く聞こえるよう臨場感を出し、同時録音ができない場面でもミックスに違和感が出ないよう工夫しました。俳優が川の中を転がるシーンではピンマイクがダメになったこともありました。」と、なかなか知り得ない現場の舞台裏を話していただきました。

 

②『わが子を看取る~おうち診療所での3ヶ月』(撮影)

講演:林裕介 様 / (株)ytv Nextry ・讀賣テレビ放送(株)

林 裕介 様

難病の子供が家族と一緒に暮らしながら医療ケアを受けられる全国でも数少ない施設を舞台に、家族の葛藤と苦悩、その果ての決断を記録した作品。家族のあり方とは何か、「死」にカメラを向ける意味とは何なのか、参加者は様々な思いがよぎったはずです。撮影を担当した林様は「カメラのストレスを与えない距離感を保つのが難しかったが、ご家族と信頼関係を築くことができて、立ち会うのが難しい場面でも撮影させていただいた。」と、撮影の大変さを語りました。

 

③『ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語』(編集)

講演:瀬賀康介 様 / 日本放送協会

瀬賀康介 様

2018年のサッカーワールドカップ、ロストフアリーナで日本がベルギーにベスト8進出の夢を打ち砕かれた瞬間の14秒を、多角的に検証した作品。息をのむシーンに会場はため息が聞こえるほどでした。編集を担当した瀬賀様は「たった14秒の場面の繰り返しとインタビューで構成するしかない中、スローや早送りなど変化をつけながら、シーンごとの意味づけをはっきりさせて、視聴者に伝わりやすい編集を心がけた。」ということで、編集ありきの受賞だったと、あらためてその手腕に称賛の声が上がっていました。

 

④『メモからつながる人のこと』(ビジュアルアーツ専門学校卒業制作作品)

山本涼太 様(撮影)篠原野杏 様(監督)

受賞作品の合間には、会場を貸していただいたビジュアルアーツ専門学校の学生さんの卒業制作作品「メモからつながる人のこと」が上映され、将来を担う若者たちの姿に、皆さん感心した様子でした。

 

今回は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため受付に注意文書を貼って、手指消毒用アルコールも用意したほか、予定していた懇親会はキャンセルとさせていただきました。
大阪支部では来年度も受賞作品を見る会を開催して、技術力向上に努めていきます。

(近藤博英:NHK大阪拠点放送局報道部、本誌編集委員)