優秀制作技術賞(柴田賞・鈴木賞)受賞一覧

本賞は、従来の柴田賞、鈴木賞としてお寄せ頂いた基金をもとに、他の模範になり得る業績を示した方々への顕彰事業として行って来たが、その趣旨を尊重継承し、ご遺族及び関係の方々にご承諾いただき「優秀制作技術賞」として統合、2017年に制定された。

柴田賞とは、後進の育成にも力を尽くされた故柴田氏のお気持ちを汲み、いわば新人賞としての性格をもち、各分野の若い技術者の奮起を促しているものである。
 鈴木賞とは、科学映画の撮影に多大な功績をあげられた当協会名誉会員・故鈴木喜代治氏に因み、科学映像の撮影技術者を対象としたものである。

対象となるのは、映画、テレビ、科学映像、イベント・プロモーションの映像制作の諸技術に従事している技術者で、他の模範になり得る業績をあげた者で、その職種に携わっておおむね10年までの個人とする。

 

第51回(2021年度)優秀制作技術賞受賞者

柏瀬 純子 (株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 映像制作部フィルムプロセスグループ)

1978年生。1999年 株式会社IMAGICA(現 IMAGICAエンタテインメントメディアサービス)入社。
映画部に所属し、フィルムプロセス技術者として16mmから70mmフィルムまで様々な作品に携わった。フィルムプリントを通じて培った知識と技能が評価され、小津安二郎の『東京物語』や『麦秋』を始め、日本映画を代表する数々の作品の復元に携わる。2019年より活動拠点を関西に移し、テクニカルアドバイザーとして映画の復元や保存に関連する業務に携わる傍ら、地域映像の保存活動に尽力してきた。

特に地域映像をいかに後世に伝えていくかというテーマに注力し、行政機関などと共に地域映像を守る活動を行っている。様々な地域に残されている貴重な記録映像を修復し、最適なデジタル映像として蘇らせることで、地域に残る映像を地域で守ることの大切さを伝えるため、「フィルム・リノベーション・トーク」というイベントを開催し、講師も務めている。更に、地方創成SDGsを念頭に、地域でのフィルム修復技術者の養成も主導しており、京都府と開催している京都デジタルインキュベーター事業にも携わり、全国から集まった博物館の学芸員や研究員、企業担当者、行政機関の資料管理者、大学教員や学生など、幅広い層を対象に映像の保存や活用方法についてトレーニングを実施している。また、海外での技術者養成にも取り組んでおり、マレーシアの政府機関IRDA「Iskandar Regional Development Authority」が主催する、映像業界の若手プロフェッショナルトレーニングプログラムでは、「Imagica SEA Post Production Training Program 2015」の講師を務め、フィルムの取り扱いや映画の保存についてレクチャーを行った。フィルム技術者として自らの経験や技術を活かし、地域映像の持続可能な保存活動を支援し、地域の豊かな映像文化を後世へと伝えていく姿勢は本賞に値する。

≪受賞一覧≫

第51回(2021年度)
柏瀬 純子(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 映像制作部フィルムプロセスグループ)
第50回(2020年度)
柿崎 耕(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
中西 紀雄(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
野原あかね(株式会社IMAGICA Lab. フィルム・アーカイブ事業本部フィルムプロセスグループ:現 株式会社IMAGICA エンタテインメントメディアサービス)
矢野 数馬(関西テレビ放送株式会社 技術推進本部 制作技術統括局 制作技術センター)
第49回(2019年度)
井上 大助(株式会社IMAGICA Lab.)、
岡野 崇(株式会社NHKテクノロジーズ)、
岩崎 亮(NHK・撮影)
第48回(2018年度)
牛尾裕一(NHK・照明)、久保真人(IMAGICA Lab.)、
箱崎将史(NHK・撮影)
第47回(2017年度)
大和谷豪(NHK・撮影)、柴田幹太(IMAGICAウェスト)