映像プロセス部会 第53回特別セミナー 「最前線の研究者、クリエイター、技術者が集結!これでわかった!最新のHDR制作」報告
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映像業界に従事する方々を対象に、HDR制作に関するセミナーを開催。 最新のHDRディスプレイやHDRコンテンツが一同に会し、熱気あるセミナー となり、大好評のうちに終了した。
日 時 2016年7月8日(金)13:30~18:00
会 場 フクラシア品川クリスタルスクエア3F
参加者 参加者114名 出展社5社/関係者25名
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宮城直史副部会長(コダック)の総合司会のもと、塩田敏広部会長(東映ラボ・テック)による開会挨拶が行われ、セミナーに入った。
1.基調講演
いよいよ始まる4K・8K HDR放送
講師:西田幸博 氏
(NHK放送技術研究所 テレビ方式研究部研究主幹・標準化プロジェクトリーダー/工学博士)西田講師Hybrid Log-Gamma(HLG)、Perceptual Quantization(PQ)についてのわかりやすい解説、また想定されるHDRとSDRの混在や、PQとHLG間の相互変換、HDR制作におけるレベル管理など、これからのHDR制作に欠かせない注意ポイントも解説された。 また発表されたばかりの最新の規格であるBT.2100についての解説も行われ、参加者にとってタイムリーな内容となった。
2.撮影監督の視点から見るHDRコンテンツ制作事例について
講師:小川ミキ 氏
((株)トライフォース 撮影監督)小川講師HDRコンテンツを制作した経験に基づく、現場に則したHDR撮影のテクニック、ノウハウについての解説。また撮影監督の観点から、制作前に知っておいた方がいい知識、撮影時に気をつけたい事、またポスプロを含む納品までの注意点についてもお話しいただいた。
具体的には撮影現場での照明・美術への更なる気遣い、HDRモニターの必要性、さらにはグレーディングの重要性を、SDRとHDRの違いを実際にモニター表示し、HDR未経験の制作者にもわかりやすい内容であった。
機材提供:キヤノンマーケティングジャパン(株)3.HDR制作におけるキヤノン製品の活用方法
解説:田中玲子氏
(キヤノンマーケティングジャパン(株) イメージングソリューション商品企画部)キヤノン製品を使用したHDRの技術及び活用方法の紹介を通して、HDRのポテンシャルをフルに引き出すため、レンズ、カメラ、ディスプレイのそれぞれに要求される高性能、高機能についての具体的な解説がなされた。
4.HDR制作を実現する製品、技術、ソリューションのご紹介
解説:松下宗一朗 氏
(ソニービジネスソリューション(株) バリュー・クリエーション部門 マーケティング部 MK2課)HDR制作の有用評価と検証で蓄積したノウハウを元に考えだされたHDR対応機器及び制作ワークフローをご紹介いただいた。ポスプロを伴う制作向けにS-Logを用いたプロダクション中間マスターの提案、またスポーツなどリアルタイム制作にはHDRとSDRのサイマル放送の実績について解説された。
5.HDR技術を実現するDolby Vision
解説:真野克己 氏
(Dolby Japan(株) 事業開発部 ディレクター)当日に届いたばかりの最新の資料をもとに、Hollywood映画で広く採用されているDolby Visionについて技術説明ならびにそのコンテンツ制作、配信から表示までの技術・環境について解説された。具体的には、制作上でのメタデータの重要性、HDRモニターの有効な使い方など、制作者にとっても非常に有益な内容だった。
またHDRと立体音響のDolby Cinemaについても海外での展開状況を紹介いただいた。6.パナソニックのHDRの取り組みについて
解説:小塚雅之 氏
(パナソニック(株) アプライアンス社技術本部メディアアライアンス担当部長)同社が先導したUltra HD Premium規格等のHDR関連規格の策定の経緯やその目的、世界初のUltra HD Blu-ray機器の商品化や、Ultra HD Premium対応の4K HDRTVと同規格対応のUltra HD Blu-ray機器の紹介がなされた。 またUltra HD Blu-rayの米国、欧州、日本での最新のマーケット状況と今後の見通しを解説いただいた。
7.機材展示見学NHK技研展示キヤノンマーケティングジャパン展示ソニー展示Dolby Japan展示パナソニック展示NHK放送技術研究所
8K HDRディスプレイおよび映像デモ
キヤノンマーケティングジャパン(株)
4Kディスプレイ 「DP-V2410」
CINEMA EOS SYSTEM「EOS C300 Mark II」ソニービジネスソリューション(株)
4Kモニター BVM-X300/PVM-X550
Dolby Japan (株)
Dolby Vision対応OLED TVおよび映像デモ
パナソニック(株)
Ultra HD Premium準拠4K/HDRTV(DX950)
Ultra HD Premium準拠Ultra HD Blu-rayプレーヤー(UB-900)およびUltra HD Blu-rayソフトの紹介セミナーの様子機材展示の様子閉会の挨拶後、フリータイムでの上記の機材展示の見学会に移った。
最新のHDRディスプレイやHDRコンテンツが一堂に会したまたとない機会であり、各展示とも幾重もの人に取り囲まれた。また各メーカーの担当者との質疑応答も活発に行われ、HDR制作に対する参加者の熱気が伝わってきた。
今回の開催にあたり、ご多忙の中、ご講演を頂きました講師の皆様、機材展示にご協力いただきました各社様にこの場を借りて御礼申し上げます。映像プロセス部会 副部会長 竹谷卓郎(IMAGICA)