京都支部 第3回名作上映会&トークイベント 報告
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京都支部(支部長:関口譲(IMAGICAウエスト))では、京都クロスメディア推進戦略拠点(KCROP)との共催で「第3回名作上映会」を下記の通り開催しました。
【上映作品】『黒い雨』 フィルム上映
(1989年、今村プロダクション/林原グループ)
【日 時】2017年 7月15日(土) 13:30 ~
【会 場】京都文化博物館 フィルムシアター
【参加人数】約150名(トークイベント:約80名) -
今回は、第13回日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ13部門で受賞し、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で、フランス映画高等技術委員会賞を受賞した「黒い雨」をフィルム上映し、協会関係の参加者と一般観客を合わせ、立ち見が出る程の盛況で150名の参加をいただきました。
上映後のトークショーでは、川又昂氏に師事され、山田洋次監督作品の撮影監督も多く務められている近森眞史氏をゲストにお迎えしてトークショーを行いました。近森氏は、「黒い雨」では撮影助手として参加されており、30年も昔の話なのでよく覚えていないとおっしゃりながらも、黒い雨が降るシーンでは、粘度をより強く出すため砂糖ではなく「はったい粉」と墨汁で作成したことや、里山のシーンは、美術部が2年間探して辿りついたロケ地であり、また昭和20年代を再現するため電柱をすべて撤去し、アスファルトの道を土で覆ったことなど制作裏話から、きのこ雲は三原山の噴火を加工したことや、カラー作品が主流になった当時、白黒作品にしたため、フィルムやフィルターの入手が困難で特別注文で作ったフィルムを使用したこと、大きな鯉が池から飛び跳ね出しては、水面に幾重もの波紋を残して再び水の中へ入るシーンは、映画では初となるハイジョン撮影を行ったことなど撮影技法のお話、最後のシーンを撮影し直したエピソードなど、幅広く「黒い雨」の舞台裏を披露していただきました。また、最後の質疑応答では、映画監督を目指されている方をはじめ今村昌平監督ファンや井伏鱒二ファンの方などからの多くの質問に対し、近森さんが一つひとつ丁寧に返され、充実した時間となりました。