京都支部「映画の復元と保存に関するワークショップ2019 IN KYOKO」報告

日 時:2019年11月15日(金)~17日(日)
会 場:15日 復元映画上映 京都文化博物館フィルムシアター
    16日 実習 京都経済センター3F
    17日 講義 京都経済センター6F
参加者:総計140名 / 個人会員入会:2名

 

京都支部は、昨年13回目を迎えた「映画の復元と保存に関するワークショップ」の実行委員会メンバーとして初めて参加いたしました。当ワークショップの目的である「映画の復元と保存に関する最新情報を共有し、今後の課題を見つけ、この問題の重要性や必要性を感じてくださる方々、博物館や資料館の学芸員、大学の先生や学生、映画やテレビ業界で働く方のみならず、本当に映画を愛する皆さんとのネットワークを作り、理想的なアーカイブの実現とそこに尽力してくれる人材の育成」に賛同し、今年も引き続き実行委員会として当ワークショップの企画・運営により深く携わりました。

1日目:復元映画『泥の河』上映(京都文化博物館フィルムシアター)
『泥の河』(1981年、監督・小栗康平、製作・木村プロダクション)上映後、小栗康平監督、森脇清隆氏(京都文化博物館)、とちぎあきら氏(ワークショップ実行委員)によるトークセッション、『夢みるように眠りたい』(1986年、監督・林海象、製作・映像探偵社)上映後、林海象監督、土方崇弘氏(株式会社IMAGICA Lab.)によるトークセッションを実施いたしました。監督と参加者が密接に作品内容や復元に関して語り合える場を提供できました。

2日目:実習(京都経済センター3F 、一部太秦地区)
(1)『8㎜地域映画実習』
  講師:三好大輔氏 (株式会社アルプスピクチャーズ)
(2)『ノンフィルムの保存と修復』
  講師:田中晋平氏(神戸映画保存ネットワーク)、高田かおる氏・伊藤美樹氏(株式会社資料保存器材) (3)『ビデオテープの修復とデジタル化』
  講師:鈴木伸和氏・雨宮睦氏(株式会社東京光音)
(4)『フィルム祭!屋台だ!夜店だ!縁日だ!フィルムと戯れよう!』
  「手作りアニメ 描いて廻してみんなで見よう!」提供:株式会社IMAGICA Lab.
  「35㎜映画フィルムを修復してつなごう」提供:株式会社東京現像所
  「チャレンジ8ミリ! -修復と映写-」提供:株式会社吉岡映像
  「フィルムに触って遊んでみよう」提供:日本映画テレビ技術協会 京都支部
  「超入門 スーパー8の撮影から上映まで」提供:コダック合同会社
(5)『太秦の撮影所を巡りながら、日本映画のいまとむかしを学ぶ秋の遠足』
  講師:永島聡氏(株式会社松竹撮影所)、横山真一氏(東映株式会社 京都撮影所)
  ナビゲーター:とちぎあきら氏(実行委員会)

提供:日本映画テレビ技術協会 京都支部

提供:株式会社吉岡映像
 

提供:株式会社東京光音

提供:株式会社東京現像所
 

参加者に実際にフィルムやビデオに触れてもらう、修復を実体験してもらう、撮影所を体感してもらうなどによって、より一層「映画の復元と保存」に関して身近に興味をもっていただき、知識を深めていただくことができました。

3日目:講義
とちぎあきら氏(実行委員会)より2日間を含めた全体の内容説明、開催の挨拶を行い、2006年から大阪にて始まったこのワークショップが、「映画の復元と保存」に関わっている実務者、研究者、他関係者が一堂に会し、各々の課題や成果を語り合う場として重要であると語りました。また講義においては明日からの仕事に生かせるアイディアが産まれるセッションが続くと前置きし、今回初めてアニメーション「白蛇伝」の修復を取り上げたこと等を説明いたしました。最後に妹尾啓太氏(京都支部長)が閉会の挨拶を行い、3日間盛況で充実した意義のあるイベントになったと全国から集まってくださった方々に敬意と感謝の意を表しました。映画の復元と保存に関しては、技術・労力・予算等の多数の問題があるが、映画を残していきたい想いを継続していくことの重要性を改めてこのワークショップで深く感じたと語り終了となりました。

とちぎあきら氏(実行員会)

妹尾啓太氏(京都支部長)
 

■講義内容

  1. 「企業アーカイブズにおける視聴覚資料のアーカイブへの取り組みについて」
    小泉智佐子氏(資生堂企業資料館)
    石橋達二氏(グリコ江崎記念館)
    とちぎあきら氏(実行委員会)
  2. 「映像アーカイブのための資金調達の壁を突破する!」
    三好大輔氏(株式会社アルプスピクチャーズ)
    中西美穂氏(大阪アーツカウンシル)
    廣安ゆきみ氏(READYFOR株式会社)
    羽鳥隆英氏(日本映像アーキビストの会(仮称)呼びかけ人会)
  3. 「地域における映像アーカイブの取り組み」
    須田建太朗氏(京都府商工労働観光部ものづくり振興課)
    森脇清隆氏(京都文化博物館)
  4. 「デジタル復元最新事例報告①」
    『白蛇伝』(1958年、監督・薮下泰司、製作・東映動画)
    三浦和己氏(国立映画アーカイブ)
    椎原史隆氏(東映ラボ・テック株式会社)
  5. 「デジタル復元最新事例報告②」
    『八甲田山』(1977年、監督・森谷司郎、製作・橋本プロダクション、東宝映画、シ ナノ企画)
    木村大作氏(撮影監督)
    山下 純氏(株式会社東京現像所)
    小森勇人氏(株式会社東京現像所 アーカイブコーディネーター)
 

京都支部は会場にブース出展して、機関誌100冊の無料配布、入会情報のチラシを配布し活動を紹介したことにより、新たに2名の入会をして頂くこともできました。

 

今後も京都支部としての活動を更に充実し、映像業界の方々との交流を行って参りたいと思います。 3日間にわたるワークショップは、大変盛況裡に終了いたしました。ご協力、ご協賛頂いた各社に紙面を借りて御礼申し上げます。

(三輪由美子/幹事・ツクリエ)

<主 催>
「映画の復元と保存に関するワークショップ2019 IN KYOTO」実行委員会、京都府京都文化博物館、日本映画テレビ技術協会京都支部

<協 力>
京都府、株式会社アルプスピクチャーズ、一般社団法人神戸映画保存ネットワーク、NPO法人映画保存協会、コダック合同会社、株式会社松竹撮影所、株式会社ツクリエ、デジタルアーカイブ学会、東映株式会社京都撮影、東映ラボ・テック株式会社、株式会社東京現像所、日本映像アーキビストの会(仮称)呼びかけ人会、プラネット映画資料図書館、株式会社吉岡映像

<協 賛>
株式会社足柄製作所、株式会社IMAGICA Lab.、共進倉庫株式会社、株式会社資料保存器材、株式会社東京光音

<事務局>
株式会社IMAGICA Lab.内「映画の復元と保存に関するワークショップ」実行委員会事務局

(順不同敬称略)