映画テレビ技術フェアin関西2018 報告

日時:2018年12月5日(水)6日(木)
会場:クリエイティブネットワークセンター大阪
   メビック扇町 カンテレ扇町スクエア
主催:一般社団法人 日本映画テレビ技術協会
共催:クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町

参加人数:440名(展示会 2日間)、270名(セミナー 4回)

大阪支部ではことしもクリエイターや映像関係者の皆様を対象とした映像制作技術の最新情報を提供するセミナーと各社の最新機器の展示を行いました。

展示参加社(25社)
アストロデザイン(株)/池上通信機(株)/EIZO(株)/エヌ・イー・ピー(株)/カールツァイス(株)/カナレ電気(株)/キャノンマーケティングジャパン(株)/グラスバレー(株)/ジャパンブロードキャストソリューションズ(株)/(株)JVCケンウッド/(株)シグマ/(株)昭特製作所/(株)綜合舞台/ソニービジネスソリューション(株)/(株)テクノハウス/パナソニックシステムソリューションズジャパン(株)/(株)ビデオサービス/ビデオトロン(株)/(株)フォトロン/富士通(株)/富士フイルム(株)/ブラックマジックデザイン(株)/(株)朋栄/三友(株)/ランサーリンク(株)

 

■展示会場

前回の23社を上回る25社が参加、カメラステージも1社増えて、計5台の4K・8Kカメラが並びました。今回は、12月1日に4K8K放送が開始した直後で、4Kおよび8Kの機材一色といった印象でした。各社のブースでは、関西の技術者と各メーカーの方々が、最新機材について情報交換する姿が目立ちました。

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■セミナー

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今回は技術情報セミナー(映像配信・8K制作)が2回、映画監督のトークショーが2回、計4回のセミナーを開催しました。多くの方々にお越しいただき、多くの参加者からの質問もあり、盛り上がりました。

 

①12月5日 14:00-14:45
「映像配信ネットワーク技術の基礎と応用」
MulticastとIPv6/素材伝送と生中継

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(株)NTTぷらら 土井猛氏
 

1日目のセミナーは、日本初のHDR対応4K-VoD/4K-IP放送の開始に尽力され、現在、ハイレゾ音声映像サービスの立ち上げに携わるNTTぷららの土井猛氏の講演から始まりました。
電話局OLTから加入者宅内ONUまでの光ケーブルを含めた通信プロトコル、いわゆるPONシステム(PassiveOpticalNetwork)の解説から始まり、10Gbpsサービスでは、特に報道の映像素材の伝送などに使ってもらいたいと強調していました。
この日のメインテーマは「Multicast」で、▼インターネットでは使えない、▼流せる回線が限定的、▼製品が少ないなどの特徴、さらにはMulticastのブロードキャストを阻止するにはどうしたらいいのかというところまで、詳しく解説していただきました。

 

②12月5日 16:00-17:30
『空飛ぶタイヤ』本木克英監督トークショー

 

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本木克英監督
 

今回も日本映画界の第一線で活躍されている映画監督をお招きすることができました。1日目は、池井戸潤のベストセラー小説を映画化した「空飛ぶタイヤ」の本木克英監督。すべての映画の編集を担当され、監督をよく知る川瀬功氏との対談形式で行いました。

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(川瀬功氏と対談形式で進行)
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本木監督は、学生時代に金融関係の会社への就職が内定しながら、大学構内で助監督募集のチラシを見つけたことがきっかけで、松竹に助監督として入社。以来、助監督や米国研修、帰国後にプロデューサーを経て、初めて映画の監督をするまでのいきさつから、「釣りバカ日誌」、「超高速!参勤交代」など監督してきた映画についての思いを語っていただきました。
ことし公開された映画「空飛ぶタイヤ」では、作品に登場する自動車会社をリアルに再現することに苦労され、特にトラックの事故シーンでは、CGの最新技術を駆使してタイヤが飛ぶ映像を制作するなど、今回の映画の撮影がいかに難しかったか、普段は知ることができない舞台裏の貴重なお話しいただきました。

 

③12月6日 11:00-12:00
「ロシアW杯サッカー8K制作と最新情報」

 

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日本放送協会 野上宗五郎氏
 

2日目の技術情報セミナーでは、12月1日に本放送が始まった直後ということもあり、日本放送協会の野上宗五郎氏にロシアワールドカップサッカーの8K制作について、詳しくお話しいただきました。
野上氏は、6月から7月にかけて行われた大会のうち開幕戦や日本戦、そして準決勝・決勝戦など8試合の8K放送を現地で担当。8K制作中継車の概要、カメラ・音声、制作・伝送の詳細なシステム構成とその運用にについて、貴重な経験をお話しいただきました。
W杯中継を終えた8K中継車は、その後欧州各国で収録を続け、12月1日のBS4K/BS8 K開局スペシャルにおいて「イタリア8K生中継」で使用されたことが紹介され、8K本放送の最新情報まで情報提供していただきました。

 

④12月6日 14:00-15:00
ドキュメンタリー映画『愛と法』
戸田ひかる監督トークショー
「インディペンデント映画ができるまで」

 

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戸田ひかる監督
 

セミナーの最後は、大阪在住のドキュメンタリー映画監督の戸田ひかる監督にきていただきました。
戸田ひかる監督は初監督となる映画「愛と法」で、大阪で法律事務所を営む弁護士“夫夫”の日常と裁判を描き、東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門作品賞、香港国際映画祭・最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞しました。今回のような講演は、戸田監督にとっては初めの経験ということで、とてもフレッシュであたたか空気が流れる時間となりました。
戸田監督は、10歳からオランダなど海外で育ち、この映画を撮影・制作するために帰国し、2014年から大阪で暮らしはじめました。「大阪には大学時代に暮らしたロンドンにはないぬくもりがあり、多くの出会いが大切になることを教えられた。」そうして始まった撮影ですが、映画制作の資金を集めのためのさまざまな努力や、1年近くかかった編集作業から、ロンドンでのポスプロの話まで、この映画にかけてきた戸田監督のバイタリティーを感じさせてくれる内容でした。また会場には、編集担当の秦岳志氏が駆けつけ、編集者の視点から戸田監督について話していただきました。
「映画が完成したらそれが終わりではない。作った側の責任がある。」戸田監督は、劇場で公開上映して、観客と話をしてあらためてそう感じたと語りました。「答え」を示すのではなく、「問いかけていきたい」と力強く話していたのを聞いて、多くの参加者が次の作品への期待を抱いたのではないでしょうか。

 

■交流会 12月5日

1日目の終了後にはカンテレ扇町1階で、セミナーの講師の皆様、展示参加社の皆様、そして、東京や大阪の会員の皆様など95名が参加し、交流会を行いました。

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交流会では、“サプライズ”で、翌日に誕生日を迎えられる本木監督に一日早いバースデーケーキが贈られました。大阪で生まれた「堂島ロール」の特製巨大ケーキが登場すると会場は大いに盛り上がり、本木監督も満面の笑みで感激していただいたご様子でした。

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本木監督(巨大“堂島ロール”を前に)
 

「映画テレビ技術フェア in 関西」を振り返りまして、今回も多くの皆様のご協力をいただきました。セミナーの講師の皆様、展示会出展各社の皆様、さらには会場をご提供していただきましたメビック扇町様、関西テレビ放送株式会社様、会場の設営・撤収にご協力をいただきました大阪支部の幹事の皆様、そしてバックアップしていただきました本部の皆様、本当にありがとうございました。大阪支部では、次回もさらに盛り上げていきたいと思います。

[濱田 晴行(理事、日本放送協会)]