MPTE & VIPO共催 映像プロセス部会第57回特別セミナー報告

映像制作プロセスの脱炭素化

“バーチャルプロダクションとカリキュレーターの活用”

日 時:2024年2月7日(水)13:30~17:30

開催方法:Hibino VFX Studio

参加者:38名

 

講 演:

① バーチャルプロダクションの概説と実演デモ
  講師:株式会社 東北新社/WTFC プロデューサー 金子 涼平
     ヒビノ株式会社 プロデューサー 東田 高典
     株式会社 オムニバス・ジャパン プロデューサー 徳重 岳浩

メタバースプロダクションのMissionとして、映像制作における「温室効果ガス削減」「プロセス効率化」を目指しPX(プロダクション・トランスフォーメーション)のサービスを開発/提供するとの説明があった。また、実際にバーチャルプロダクションを実現するための 3カ所のスタジオ設備と3DCGアセットが紹介された。
その後、Virtual Production 3D(In Camera VFX)と、2D(Screen Process)の事例紹介の後、実際にカメラと大型LEDディスプレイを含むスタジオ設備によるデモが行われた。

[会場の様子]

[徳重 岳浩氏 金子 涼平氏 東田 高典氏]
 

② 映像制作カーボンカリキュレーターの紹介[開発背景の概説/入力実演デモ]
 講師:株式会社 電通 パブリック・アカウント・センター
     シニア・プロデューサー 荒木 丈志
    株式会社 電通クリエーティブX ビジネスイノベーションデパートメント
    プロセスマネジメント部 PX課
     サステナビリティ プロダクション マネージャー  尾形 麻子
     メタバースプロダクション部 長谷川 徹

まず、カーボンニュートラルに関する外的要因の説明があった。
人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がなく、2011~2020年に1.1℃の温暖化に既に達しており、2040年までに1.5℃に到達することがIPCCのレポートで警鐘されている。
世界の消費者の61%が「広告に触れることが地球環境に悪影響を及ぼしている」と回答。
企業(広告・コンテンツ含む)はサプライチェーン全体でのCO2排出量の可視化と削減が重要なイシューとなっている。
次に、CO2排出量の算定と必要性について解説があった。
サプライチェーンでCO2排出量を管理する際の複数の算出方法が紹介された。
そのうちでより正確に計測していくためには、製品ライフサイクルの主要なプロセス、原材料を洗い出して積み上げて計算する手法が推奨されたが、その手法の1つとして、カリキュレーターが紹介された。
更に、世界と日本の対応、標準化の必要性について説明がなされた。
英国のAD NET ZEROが牽引する広告領域の動きについて説明の後、日本の対応について、映像制作の領域においてサービスレベルのGHGデータ算定ができるツール(Carbon Calculator)開発について解説された。
最後に実際にCarbon Calculatorの実演デモが行われ、当日の特別セミナーの事前準備および開催時のCO2排出量について計算することで、理解を深めることができた。

[荒木 丈志氏]

[長谷川 徹氏 尾形 麻子氏]
 

③ICVFXとxR– 課題とソリューション
 講師:Disguise Japan合同会社
     副社長 飯田 厚二(マーケティング&業務執行役)

まず最初にDisguiseはグルーバルスケールのテクノロジー企業であり、最先端のメディア&エンタテインメントプラットフォームを提供しているとの説明があった。
次にバーチャル・プロダクションはコンテンツ制作を加速・効率化し、フィルムメーカーがデザインしたカスタムツールの開発を促進し映画制作の近代化に貢献すると説明された。
続いてVPの具体例として、2.5DやFull scale 3Dの映像が紹介された。
また、VPにおけるAIの使用例について、複数の写真やビデオから3D表現を行う手法や、AIによる3Dモデルの生成などのサンプル映像が実演された。

[飯田 厚二氏]