優秀制作技術賞(柴田賞・鈴木賞)受賞一覧
本賞は、従来の柴田賞、鈴木賞としてお寄せ頂いた基金をもとに、他の模範になり得る業績を示した方々への顕彰事業として行って来たが、その趣旨を尊重継承し、ご遺族及び関係の方々にご承諾いただき「優秀制作技術賞」として統合、2017年に制定された。
柴田賞とは、後進の育成にも力を尽くされた故柴田氏のお気持ちを汲み、いわば新人賞としての性格をもち、各分野の若い技術者の奮起を促しているものである。
鈴木賞とは、科学映画の撮影に多大な功績をあげられた当協会名誉会員・故鈴木喜代治氏に因み、科学映像の撮影技術者を対象としたものである。
対象となるのは、映画、テレビ、科学映像、イベント・プロモーションの映像制作の諸技術に従事している技術者で、他の模範になり得る業績をあげた者で、その職種に携わっておおむね10年までの個人とする。
第53回(2023年度)優秀制作技術賞受賞者
宮辺 桂佑 (みやべ けいすけ) 株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス フィルム&レストレーション部レストレーショングループ
2007年入社後、フィルム部門でテレシネとプリント業務に5年間従事し、写真化学やプリンターの機械・光学技術、フィルム修復技術の基礎を身につけた。その後、デジタル修復部門に移り5年間、映画やテレビなど多数のデジタル復元に携わった。これらの経験を活かし、スキャン技術の新たな領域の開拓に取組み、4KスキャナーCinevivoの自社開発に関わり、フィルムの劣化症状にも適応したスキャナーへと進化させた。
2019年には、台風19号で水損被害を受けたフィルムの救済事業に取り組み、従来の写真工学的な修復方法では太刀打ちできないほど損傷を受けたフィルムを全て救済することができた。2022年には台湾の国家電影中心及視聴文化中心が所蔵する『愛情十字路』(1957年製作)の復元不可能とされたフィルムを蘇らせることに見事成功した。近年では国内だけでなく東南アジアを中心に香港、シンガポールなどからも数多くの修復依頼を受けるようになり、映画修復の最後の砦として活躍している。また、様々な人材育成・教育事業でも活動しており、フィルム(アナログ)とデジタル双方に精通した技術者として国内外のフィルムアーキビストや修復技術者に対する講演や実習を通して、映画フィルムの修復やスキャン技術を伝えている。過去から現在、現在から未来へと「技術」を後世へ残していく活動と数多くの実績は本賞に値する。
≪受賞一覧≫
- 第53回(2023年度)
- 宮辺 桂佑(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス フィルム&レストレーション部レストレーショングループ)
- 第52回(2022年度)
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金丸 岳生(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
細野 和彦(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
阪上 啓介(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス フィルム&レストレーション部 フィルムプロセスグループ) - 第51回(2021年度)
- 柏瀬 純子(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 映像制作部フィルムプロセスグループ)
- 第50回(2020年度)
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柿崎 耕(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
中西 紀雄(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
野原 あかね(株式会社IMAGICA Lab. フィルム・アーカイブ事業本部フィルムプロセスグループ:現 株式会社IMAGICA エンタテインメントメディアサービス)
矢野 数馬(関西テレビ放送株式会社 技術推進本部 制作技術統括局 制作技術センター) - 第49回(2019年度)
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井上 大助(株式会社IMAGICA Lab.)、
岡野 崇(株式会社NHKテクノロジーズ)、
岩崎 亮(NHK・撮影) - 第48回(2018年度)
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牛尾 裕一(NHK・照明)、久保真人(IMAGICA Lab.)、
箱崎 将史(NHK・撮影) - 第47回(2017年度)
- 大和 谷豪(NHK・撮影)、柴田幹太(IMAGICAウェスト)