優秀制作技術賞(柴田賞・鈴木賞)受賞一覧

優秀制作技術賞(柴田賞・鈴木賞)受賞一覧

本賞は、従来の柴田賞、鈴木賞としてお寄せ頂いた基金をもとに、他の模範になり得る業績を示した方々への顕彰事業として行って来たが、その趣旨を尊重継承し、ご遺族及び関係の方々にご承諾いただき「優秀制作技術賞」として統合、2017年に制定された。

柴田賞とは、後進の育成にも力を尽くされた故柴田氏のお気持ちを汲み、いわば新人賞としての性格をもち、各分野の若い技術者の奮起を促しているものである。
 鈴木賞とは、科学映画の撮影に多大な功績をあげられた当協会名誉会員・故鈴木喜代治氏に因み、科学映像の撮影技術者を対象としたものである。

対象となるのは、映画、テレビ、科学映像、イベント・プロモーションの映像制作の諸技術に従事している技術者で、他の模範になり得る業績をあげた者で、その職種に携わっておおむね10年までの個人とする。

 

第54回(2024年度)優秀制作技術賞受賞者

伊藤 諒司(いとう りょうじ)

株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
フィルム&レストレーション部レストレーショングループ

 

日本大学芸術学部でフィルムによる映像表現や技術を学んだ後、2016年にIMAGICAウェスト(現・IMAGICAエンタテインメントサービス)に入社。現像や化学分析などのラボ技術を幅広く習得した後、入社5年目からはネガ現像を担当し、三宅唱監督『ケイコ 目を澄ませて』や是枝裕和監督『阿修羅のごとく』などの作品に携わってきた。デジタル化が進む中でもフィルム文化の継承を志し、それまで社内で実施されていなかったKodak製8mmカラーネガフィルムの現像を2年かけてサービス化。8mmでもプロユースに耐える品質を実現し、CMやPV、ドラマなどでの活用が広がった。
またフィルムを使ってみたい若年層に向けたセミナーやワークショップを積極的に開催し、「ぴあフィルムフェスティバルin京都」では高校生向けの企画運営も行った。復元分野では「銀残し」技術による旧作の再現に成功し、現像機改造や薬品調整によって制作当時の質感を忠実に再現。保存分野でも災害で損傷したフィルムを救済するための洗浄技術を開発し、文化資産の保全にも貢献している。
これらの活動を通じて、フィルム技術の発展と次世代への継承に大きな役割を果たしており、日本の映像文化を守っていくために今後も活躍が大いに期待される。よって本賞に値する。

≪受賞一覧≫

第54回(2024年度)
伊藤 諒司(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
フィルム&レストレーション部レストレーショングループ)
第53回(2023年度)
宮辺 桂佑(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス フィルム&レストレーション部レストレーショングループ)
第52回(2022年度)
金丸 岳生(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
細野 和彦(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
阪上 啓介(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス フィルム&レストレーション部 フィルムプロセスグループ)
第51回(2021年度)
柏瀬 純子(株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス 映像制作部フィルムプロセスグループ)
第50回(2020年度)
柿崎 耕(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
中西 紀雄(日本放送協会 放送技術局 制作技術センター 制作推進部)、
野原 あかね(株式会社IMAGICA Lab. フィルム・アーカイブ事業本部フィルムプロセスグループ:現 株式会社IMAGICA エンタテインメントメディアサービス)
矢野 数馬(関西テレビ放送株式会社 技術推進本部 制作技術統括局 制作技術センター)
第49回(2019年度)
井上 大助(株式会社IMAGICA Lab.)、
岡野 崇(株式会社NHKテクノロジーズ)、
岩崎 亮(NHK・撮影)
第48回(2018年度)
牛尾 裕一(NHK・照明)、久保 真人(IMAGICA Lab.)、
箱崎 将史(NHK・撮影)
第47回(2017年度)
大和谷 豪(NHK・撮影)、柴田 幹太(IMAGICAウェスト)